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特殊染め技法

72 墨流し(すみながし)
73 色流し(いろながし)
74 糊流し(のりながし)
75 のせ加工友禅
76 ダンマル描き
77 ダック染め
78 ゴム垂らし染め
79 連管染め(れんかんぞめ)
80 石摺り(いしずり)
81 珊瑚摺り(さんごずり)
82 木葉摺り(このはずり)
83 蝶染め(ちょうぞめ)
84 ピース加工染め
85 地紋起し(ジもんおこし)
86 頭摺り(あたまずり)
87 落し染め(おとしぞめ)
88 型落し染め
89 押し模様染め(おしもようぞめ)
90 卯の花染め(うのはなぞめ)
91 挽き粉暈し(ひっこぼかし)

72 墨流し

72 墨流し(すみながし)

72 墨流し
墨流しを染色に生かしたもの。古法では墨・紅・藍が主な色料だが、 染色では各色のレーキ顔料も使われる。

図版作品は古法の風趣を残し、大きな水槽に墨流しの模様を作り、 絵羽仕立てした生地を色毎に縁蓋を替えながら、 何回かに分けて写し取っている。

73 色流し

73 色流し(いろながし)

色流し
色流しは墨流しの技法を踏襲しながら現代に合うように、 多色で墨流し模様を表現する技法である。

図版の作品は細長い水槽に黄・墨・青などのレーキで墨流しの 流水模様を作り、—反の生地を張り伸ばして、 泡などの入らないようにそっと転写染めしたものである。

74 糊流し

74 糊流し(のりながし)

糊流し
墨流し状の模様を安定させカラフルに染め出す写し技法。

図版の作品は、白い台糊の上から白と赤と緑の写し糊を筒で 適当に撤いた後に、櫛状の用具で「のの字や8の字」に掻いて 攪拌し、できた模様に上から白生地を当て、 転写した孔雀模様の糊流し染めである。

75 のせ加工友禅

75 のせ加工友禅

のせ加工友禅
近年に台頭してきた染色の新しい複合加工法である。 始めに生地を無地色に引染め、その後に型染め、 金彩などで鮮やかな加飾を施す。

図版作品は基本的な柄の輪郭線に戻し樹脂を置き、 色の部分は型で染めている。花や葉の暈し、 色金の振り砂子などを加えている。

76 ダンマル描き

76 ダンマル描き

ダンマル描き
ダンマルゴム液で模様を描く液描き技法の—つ。 他の防染剤にない半防染効果に特徴がある。 この液に揮発油に溶ける染料を混合すると着色防染ができる。

図版の作品は石楠花。花の藍は筒ゴムで、葉はダンマル描きし、 花の色を筆描きして、地染めしている。

77 ダック染め

77 ダック染め

ダック染め
ダックはフッ素系のまったく新しい着色防染剤で、 手描きや型染めに簡易な染色法を提案した材料である。

図版の作品は法隆寺にあるべルシャ模様を今様にアレンジして 型染めしたものである。柄の暈しの部分は点彫りのスクリーン型で 染め出している。

78 ゴム垂らし染め

78 ゴム垂らし染め

ゴム垂らし染め
ゴム糊をフリーハンドで自由な曲線を構成する技法。 ゴム糊を薄めて使用するので、生地に浸透して浸染にも耐える。

図版の作品は生地全体に筒でゴム垂らしを施して、 部分的に赤の染料液を挿し、竹の皮で小帽子絞り後に浸染した ゴム垂らしと絞り併用のもの

79 連管染め

79 連管染め(れんかんぞめ)

連管染め
ガラス筆にゴム管を繋ぎ、口で空気を調節しながらダンマルゴム液 を生地に線描きする技法。筒糸目よりも調節が難かしい。 ガラス管を連ねて作った連管を使うと流水模様が容易に表わせる。

図版の作品は連管で流水模様を描いた後、霧暈ししたものである。

80 石摺り

80 石摺り(いしずり)

石摺り
蝋吹雪より柔らかな綿雪散しの模様を表わす御影石の自然な石肌を 巧みに利用した染色技法。

図版の作品は白生地に蝋で石摺りして地色の淡青染め、 黄色と青で染め分け、立ち草柄の生型の上から蝋叩きして地の部分 を伏せ、赤色を染め重ね微妙な淡紫を出している。

81 珊瑚摺り

81 珊瑚摺り(さんごずり)

珊瑚摺り
亜熱帯の強い日射しをうけて、鮮やかな光彩を放つ見事な珊瑚が 八重山諸島では身近に見られる。この珊瑚を輪切りにして、 その断面模様を版として生地に転写する染め技法。

図版の作品は多色で珊瑚文様を拓本式で摺り染め、紫で引染め、 暈している。

82 木葉摺り

82 木葉摺り(このはずり)

木葉摺り
植物の木の葉を転写する染色を、一般に木の葉染めと呼んでいる。

図版の作品は手芸的な趣の強い木の葉染めを、 工芸的な領域にまで高め、友禅染めに併用して金の糸目と摺り箔を 加飾し、木の葉を模様の主体にして染め上げたもの。

83 蝶染め

83 蝶染め(ちょうぞめ)

蝶染め
手描き友禅では表わせない天然の蝶を用いた独創的な染色技法。

図版作品は斜め暈しの地に草花模様を素描き染めしたものに、 花に舞う蝶々は蝶の羽を特殊加工して、鱗粉を転写染めしたものである。 蝶の体と髭は手描きしているが、天然の蝶の鱗粉が美しい。

84 ピース加工染め

84 ピース加工染め

ピース加工染め
ピース加工は、その芸術性が高く評価されるようになった。 伝統的手法とは異なり、エアーブラシが彩色筆や刷毛の働きをする。

図版の作品は青色に地染めした生地に、金糸目を筒で描き流水の 縁蓋の上から金泥をピース加工し、次いで水玉を胡粉と墨でピースする。

85 地紋起し

85 地紋起し(ジもんおこし)

地紋起し
白生地に織り出された地紋柄を効果的に友禅意匠として、 立体感を持たせる技法。

図版の作品は地紋の一部の丸紋に白茶のゴム糸目で地紋を起こし、 ブルー濃淡の彩色後、ダンマルで伏せ、地染めして、 地紋の周囲を暈し、最後に抜染の頭擦りで仕上げている。

86 頭摺り

86 頭摺り(あたまずり)

頭摺り
生地の地紋を生かした技法で、論子や鬼しぼ縮緬の地紋の頭部を 加工する染法である。

図版の作品は別織りした小紋調地紋の論子を鼠色に引染めし、—度蒸してから 抜染剤で頭摺りして、二度蒸しで白く抜染したもの。
小紋染めとも見える上品なものである。

87 落し染め

87 落し染め(おとしぞめ)

落し染め
落し暈しは、染め模様の位置と暈しの状態を確かめながら加工ができる。

図版の作品は着尺柄を型紙の摺り込みで染め、菖蒲と鶴の胡粉の位置を部分伏せして後、 地の部分に落し技法で霞暈しを施したもの。

88 型落し染め

88 型落し染め

型落し染め
図版の作品は型染めして伏せ糊後、背景に葉の切型数枚を木の桟などで 下駄を履かせて紫色の落し暈しを行う。

89 押し模様染め

89 押し模様染め(おしもようぞめ)

押し模様染め
型友禅と木版を併用加工する技法。

図版の作品は紫に地染めした生地に萩を金泥で木版染めして、 青の葉と、鈴虫は型の摺り暈しで染めている。

90 卯の花染め

90 卯の花染め(うのはなぞめ)

卯の花染め
食用豆腐の雪花菜(おから)を用いた特殊な染法。

図版の作品はまず淡い鼠を引染め、おから落としで生地全体を斑染めにする。 次いでかもめを蝋描きし再ぴ鼠の引染めをする。今ー度かもめを蝋描きし 淡ピンクで染め上げ、淡雪中に飛翔するかもめを表現している。

91 挽き粉暈し

91 挽き粉暈し(ひっこぼかし)

挽き粉暈し
染料液を引染めし、乾燥前に挽粉に染料液を吸収させ、淡く斑点状に染め出す技法。

図版作品は、裂取り模様の上から全面を紫色で引染め、その染料液がまだ乾燥しない うちに、挽粉を篩で均ーに撤き、炙り車で乾燥し、挽粉を払い落とした独特な染物。

92 百色捺染

92 百色捺染(ひゃくしょくなせん)

百色捺染
この染色法の原理は千歳飴がどこまでも同じ模様が現われるように、 固形色糊で模様を作る特殊な技法。

図版の作品は多数の色糊を重ね合わせて練り込み、 ローラーで多色の層を作り、この断面を組み合わせて 模様をモザイク状に構成して転写染めしている。

93 彩纈染め

93 彩纈染め(さいけつぞめ)

彩纈染め
亀裂の入る特殊な糊を使用した亀裂染めの一種である。 蝋の亀裂とは異なり均ーな細かい亀裂に特徴がある。

図版作品は黒糊で柄の一部を型置き後、地型で伏せ糊し、 亀裂させる所に白の彩瀬糊を型置き、乾燥亀裂すると赤の 色糊で型置きし、黒糊で扱き、染めた。

94 ピクチャー版画染め

94 ピクチャー版画染め

ピクチャー版画染め
ピクチャー版画染めは、カラー複写機を利用して容易に染工場で 独自に柄作りが可能になり、重要な図柄が外部に漏れる心配が なくなった。

図版の作品は、染色図案から写し取った洋花模様を箔地の絹に 転写したもので、地色も転写で染めたものである。